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  • 育成就労は自由に転籍できる?

    「技能実習がなくなれば、外国人は自由に転職できるのか」「受入れ企業は、育てた人材がすぐ他社へ移ることを心配すべきか」。育成就労制度をめぐっては、このような疑問が多く見られます。

    結論からいえば、育成就労では本人の希望による転籍が新たに認められます。ただし、一般の転職と同じように、いつでも好きな業種や会社へ移れる制度ではありません。開始時期と条件を正しく理解する必要があります。

    2027年4月開始、今は技能実習

    育成就労制度は、2024年6月21日に公布された「出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律」(令和6年法律第60号)によって創設されました。出入国在留管理庁の案内によると、一部を除く施行日は2027年4月1日です。

    したがって、2026年8月現在、在留資格「育成就労」による就労はまだ始まっておらず、現行の技能実習制度が適用されています。一方、準備手続は進んでおり、監理支援機関の許可に関する施行前申請は2026年4月15日に開始され、育成就労計画の認定に関する施行前申請は同年9月1日から受け付けられる予定です。

    施行前から技能実習を行っている人などには経過措置があります。施行日に全員が自動的に育成就労へ変更されるわけではありません。技能実習を継続できるか、次の段階へ移行できるかは、入国時期、技能実習計画及び現在の段階によって異なります。

    人材育成と確保を明確な目的に

    技能実習は「人材育成を通じた国際貢献」を目的としてきました。これに対し、育成就労は人手不足分野での「人材育成」と「人材確保」を目的とし、原則3年間の就労を通じて特定技能1号の水準まで育成する制度です。対象は、特定産業分野のうち、就労を通じた育成になじむ育成就労産業分野です。

    就労開始までに原則として日本語能力A1相当(日本語能力試験N5程度)の試験合格又は相当する日本語講習の受講が求められます。さらに、特定技能1号へ移行するには、技能試験と日本語能力A2相当(日本語能力試験N4程度)以上の試験合格が必要です。分野によって、より高い基準が定められる場合があります。

    本人希望の転籍にも条件がある

    育成就労では、受入れ先の倒産、人権侵害、重大な契約違反など「やむを得ない事情」がある場合の転籍に加え、一定の要件を満たせば本人の希望による転籍も認められます。

    本人希望の転籍には、同じ受入れ機関で分野ごとに定められた期間を就労していること、必要な技能・日本語能力を身につけていること、転籍先でも同一の業務区分に従事することなどが必要です。転籍制限期間は分野により1年又は2年とされ、転籍先の受入れ人数枠や受入れ体制にも条件があります。詳しい要件は出入国在留管理庁の育成就労制度Q&Aで確認できます。

    つまり、「在留資格が育成就労なら自由に転職できる」という理解は正確ではありません。別分野への転職を希望する場合は、新たな在留資格への変更が可能かを別に検討する必要があります。

    受入れ企業は雇用環境の整備を

    受入れ企業には、外国人ごとの育成就労計画を作成し、認定を受けた内容に沿って育成と雇用を行うことが求められます。監理型では、新たに許可を受けた監理支援機関が関与しますが、賃金の支払い、安全衛生、社会保険など、雇用主としての責任までなくなるわけではありません。

    企業は在留カードを確認するだけでなく、実際の業務が在留資格や認定計画に適合しているかを確認する必要があります。入管法上の手続と労働法、社会保険、税務、業種ごとの許認可は別の制度です。労務は社会保険労務士、税務は税理士、法的紛争は弁護士への確認が適切となる場合があります。

    制度内容、審査運用、必要書類及び申請方法は変更される場合があります。外国人本人と受入れ企業の状況によって対応も異なりますので、就労開始前から早めに確認しましょう。

    ICY行政書士事務所は、大阪市中央区・本町駅徒歩3分。外国人の在留資格・入管手続の相談に対応しています。

  • 許認可費用は補助対象?

    飲食店営業許可や古物商許可などが必要な事業では、設備費や店舗改装費に加え、行政への申請手数料や行政書士への報酬も発生します。「これらも補助金で支払えるのでは」と考える方もいますが、必要な費用でも補助対象になるとは限りません。

    今回は、2026年7月21日更新の「小規模事業者持続化補助金<一般型・通常枠>第20回公募要領(第8版)」を例に、許認可費用と補助金の関係を整理します。

    第20回公募は受付開始前

    小規模事業者持続化補助金は、経営計画に基づく販路開拓や業務効率化を支援する制度です。商業・サービス業は原則5人以下、宿泊業・娯楽業と製造業その他は20人以下が従業員数の基準です。申請時点で開業していない創業予定者は対象外ですが、個人事業主も要件を満たせば申請できます。

    補助率は原則3分の2、通常の補助上限は50万円です。インボイス特例は50万円、賃金引上げ特例は150万円が上乗せされ、両方を満たす場合は上限250万円です。賃金引上げ特例を利用する赤字事業者の補助率は4分の3ですが、各特例には別途要件があります。

    第20回の公式スケジュールでは、2026年11月5日に受付開始、事業支援計画書(様式4)の発行依頼は12月4日、申請は12月15日17時が締切です。電子申請にはGビズIDプライムが必要です。

    許認可費用と専門家報酬を分ける

    第20回公募要領では、機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費、旅費、新商品開発費、借料、委託・外注費の8区分だけが補助対象経費です。そのうえで、「免許・特許等の取得・登録費」は対象外とされています。

    また、補助金の応募書類や実績報告書の作成・送付・手続にかかる費用も対象外です。したがって、補助金申請のために行政書士等へ支払う報酬を、対象経費に含めることはできません。コンサルティングやアドバイス費用も原則対象外です。

    許認可申請に関する行政書士報酬まで一律にどのように扱うかは、制度ごとの公募要領によって異なります。対象であることが明示されていない限り、補助金で賄える前提にせず、行政手数料と専門家報酬は自己資金として分けておくのが安全です。状況によって対応が異なります。

    なお、第三者から申請支援を受けた場合は、支援者名と着手金・成功報酬等の金額を申請時に申告する必要があります。記載がなければ、虚偽報告として不採択や交付決定取消しとなる可能性があります。

    設備や改装費は別に判断する

    許認可関係費を補助対象に計上できない場合でも、営業に使う設備や店舗改装費まで対象外とは限りません。第20回では、販路開拓につながる厨房機器、店舗改装、利用客向けトイレの改装、製造・生産強化のためのガス・水道・排気工事などが対象例として示されています。

    ただし、単なる設備の更新、通常経費、販路開拓と関係のない工事、不動産の取得に当たる増築等は対象外です。許認可上必要な設備でも、自動的に補助対象になるわけではありません。反対に、補助金の採択や交付決定を受けても、営業許可を取得したことにはなりません。

    例えば飲食店では、内装や厨房設備の仕様を確定する前に、保健所等へ相談することが重要です。営業内容、設備、施設及び所在地等によって必要な許認可が異なるため、事前に所管行政庁へ確認する必要があります。

    申請から営業開始までを一つの工程表に

    まず許認可の施設基準を確認し、見積書では、補助対象になり得る設備・工事と、行政手数料・専門家報酬を分けます。その後、補助金申請、採択、見積書等の提出、交付決定と進みます。採択通知だけでは発注できず、設備や工事の契約・発注・支払いは交付決定日以後に行う必要があります。

    第20回の補助事業実施期限は2028年3月31日です。実績報告は、事業終了後30日以内又は2028年4月10日のいずれか早い日までに行います。見積書、契約書、発注書、納品書、請求書、振込記録、工事や設備の写真を取引の順に整理してください。補助金は後払いであり、確定検査により交付決定額から減額される場合もあるため、先に支払う資金も必要です。

    第20回の参考資料、FAQ、交付規程は2026年8月8日現在準備中です。公募内容等は変更される場合があるため、申請時には最新の公式情報をご確認ください。補助金の税務処理は税理士、賃金要件は社会保険労務士、契約や紛争の判断は弁護士への確認が適切となる場合があります。

    補助金は、契約、発注、購入又は支払いを行う前の確認が重要です。許認可が必要な事業では、営業開始前に許認可要件と補助金のスケジュールを併せて整理しましょう。ICY行政書士事務所は、大阪市中央区・本町駅徒歩3分で、補助金申請の相談に対応しています。

  • 永住許可はどう変わる?改定案を分かりやすく解説

    「永住許可の条件が厳しくなるらしい」「今後は年収や日本語能力も審査されるのか」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

    2026年、永住許可の審査基準を見直すための「永住許可に関するガイドライン改定案」が公表されました。改定案には、収入基準の引上げ、年金受給見込額の確認、日本語能力の評価など、これまで以上に具体的な審査項目が盛り込まれています。

    ただし、今回公表された内容はパブリックコメントの対象となる案であり、現時点で適用されている永住許可の審査基準ではありません。本記事では、改定案の全体像と現行制度との違いを整理します。

    永住許可ガイドライン改定案とは

    永住許可とは、外国人が在留期間の制限を受けずに日本で生活するための許可です。許可を受けると、原則として在留期間の更新が不要となり、就労できる職種にも在留資格上の制限がなくなります。

    もっとも、永住許可は申請すれば当然に認められるものではありません。現在も、素行が善良であること、独立して生計を営めること、永住を認めることが日本の利益に合すると認められることなどが審査されています。

    今回の改定案は、これらの判断基準をより具体化し、永住者として日本で安定した生活を続けられるか、日本社会との関係を築いているかという点を、これまで以上に重視する内容となっています。

    パブリックコメントとは、行政機関が制度や規則を定める前に、その案を公表して広く意見を募集する手続です。寄せられた意見を踏まえて内容が修正される可能性があるため、公表された案がそのまま正式な基準になるとは限りません。

    改定案で示された主な変更点

    改定案で特に大きな変更となるのが、収入に関する考え方です。

    現行ガイドラインでは、独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有することが求められています。改定案では、世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準の年収を継続して得ていることを確認する方向性が示されました。

    単に申請時点の収入が高ければよいのではなく、一定の収入を継続して得ているかが重要になると考えられます。実際の判断では、本人の収入だけでなく、配偶者の収入、扶養家族の人数、世帯全体の生活状況なども関係する可能性があります。

    また、新たに将来の年金受給見込額を確認する案も示されています。目安として、一定の年収水準で30年間厚生年金に加入した場合に相当する受給水準が想定されています。ただし、見込額が不足していても、資産やその他の収入によって補える可能性がある場合は、その事情を考慮するとされています。

    日本語能力については、CEFR又は日本語教育の参照枠におけるB1相当の水準が示されました。B1は、日常生活や職場などで必要となる内容をある程度理解し、自分の考えを説明できる段階を指します。

    さらに、独立自営業、研究、教育、地域活動などを通じて日本社会に具体的に貢献している場合は、積極的に評価する方針が示されています。反対に、日本の制度への理解が乏しい場合や、義務教育期間中の子どもを就学させていない場合は、消極的に評価される可能性があります。

    現行制度との違い

    現在の永住許可審査でも、収入、納税、年金や健康保険料の納付、在留状況、交通違反を含む法令違反などが確認されています。

    一方、改定案では、世帯人数に応じた収入水準、将来の年金受給見込額、日本語能力、日本社会への具体的な貢献などが、審査上の評価項目として明確に示されています。

    現行制度では、日本語試験への合格は一般的な永住許可の明示的な要件とはされていません。また、日本社会への貢献についても、すべての申請者に一律に具体的な立証が求められているわけではありません。

    改定案が実施されれば、税金や社会保険料を適切に納付しているだけでなく、日本で安定した生活基盤を築き、社会との関係を形成していることを、より具体的に説明する必要が生じると考えられます。

    日本人又は永住者の配偶者等に認められている在留期間要件の特例についても見直しが示されています。改定案では、婚姻期間と日本での在留期間を現在より長くする方向となっており、配偶者として申請する方への影響も小さくありません。

    現在の申請に直ちに適用されるわけではない

    上に述べた通り、今回の内容はパブリックコメントに付された改定案です。現時点で永住許可を申請する方には、現在のガイドラインと審査運用が適用されます。

    そのため、日本語能力B1相当の証明がなければ申請できない、改定案に示された収入水準を満たさなければ直ちに不許可になると判断するのは適切ではありません。

    改定案では、収入に関する要素を令和8年10月から、その他の項目を令和9年4月から適用する予定とされています。ただし、正式な内容や適用時期は、今後の手続によって変更される可能性があります。

    永住許可を申請する時期によって適用される基準が異なる可能性があるため、申請前には出入国在留管理庁が公表する最新のガイドラインを確認する必要があります。

    永住を検討している方が確認すべきこと

    現在申請を予定している方は、改定案の情報だけを見て申請を断念するのではなく、現行基準を前提として要件を確認することが重要です。

    永住許可では、在留年数だけでなく、収入の安定性、税金や社会保険料の納付期限、家族構成、在留資格、これまでの在留状況などが総合的に審査されます。必要となる資料や説明内容は、申請者の状況によって異なります。

    将来の申請を予定している場合は、納税及び社会保険料を期限内に納付し、安定した就労と収入を維持することが基本となります。改定案を踏まえると、日本語学習や地域社会との関わりについても、早めに取り組む意義が高まるでしょう。

    永住許可の制度内容、審査運用及び必要書類は変更される場合があります。申請時には、出入国在留管理庁その他の公式情報をご確認ください。

    ICY行政書士事務所は、大阪市中央区・本町駅徒歩3分の行政書士事務所です。外国人の在留資格・入管手続の相談に対応し、永住許可の要件確認、必要書類の整理及び申請書類の作成を支援しています。

  • 外国人犯罪は増えたのか

    最近、外国人による犯罪のニュースを目にする機会が増え、「実際に外国人犯罪は増えているのか」と疑問に感じる方もいるのではないでしょうか。

    警察庁の統計から確認できるのは、来日外国人犯罪は2005年からの長期では減少している一方、直近3年間は増加しているという状況です。

    過去最多の2005年より約46.8%減少

    来日外国人犯罪の総検挙件数は、過去最多だった2005年の47,865件から、2025年には25,480件となりました。20年間で22,385件、約46.8%の減少です。

    一方、2023年は18,088件、2024年は21,794件、2025年は25,480件と、直近では3年連続で増加しています。「2005年頃より少ない」という説明と「最近は増えている」という説明は、比較する期間が異なるため、どちらも統計上は間違いではありません。

    ここでいう検挙件数とは、警察が被疑者を検挙した事件の件数です。検挙された人数を示す「検挙人員」や、警察が犯罪の発生を把握した「認知件数」とは異なります。

    また、警察統計上の「来日外国人」は、我が国にいる外国人のうち、永住者、永住者の配偶者等、特別永住者などの定着居住者、在日米軍関係者等を除いた区分です。外国人全体を意味するものではありません。

    外国人人口は約2.05倍に増加

    2005年末の外国人登録者数は201万1,555人、2025年末の在留外国人数は412万5,395人であり、単純な人数比較では約2.05倍に増加しています。

    ただし、2005年と2025年では統計制度が異なります。

    2005年の外国人登録者数は、外国人登録法に基づき、市区町村が管理する外国人登録原票に登録されていた外国人の数です。当時は、入管法による在留資格・在留期間の管理と、市区町村による外国人登録が併存していました。

    2012年7月9日に外国人登録法が廃止され、新しい在留管理制度が始まりました。現在は、出入国在留管理庁が、適法な在留資格を持って中長期間在留する外国人の情報を一元的・継続的に管理しています。2025年末の在留外国人数は、中長期在留者385万8,499人と特別永住者26万6,896人を合わせた人数です。

    そのため、両年の人数は完全に同一の集計条件ではありませんが、日本で継続的に生活する外国人の規模が大きく拡大したことは確認できます。

    窃盗犯は減少、風俗犯は増加

    罪種別に見ると、来日外国人による窃盗犯は、2005年の28,525件から2025年には12,226件となり、16,299件、約57.1%減少しています。窃盗犯は現在も来日外国人の刑法犯で最も多い罪種ですが、検挙件数は2005年の半分以下です。

    一方、風俗犯(わいせつ、盗撮、賭博等)は、2005年の99件から2025年には335件となり、約3.38倍に増加しています。

    同じ期間に外国人人口は約2.05倍となっているため、来日外国人による風俗犯の増加倍率は、外国人人口の増加倍率を上回っています。両者の増加倍率を比べると、風俗犯は外国人人口の約1.65倍のペースで増えた計算となり、人口増加だけでは説明しにくい数字です。

    そのため、外国人の増加に伴い、わいせつや盗撮などを含む風俗犯が増えているとの指摘には、一定の統計的な根拠があります。

    ただし、日本全体の風俗犯の検挙件数も、2005年の6,422件から2025年には17,168件となり、約2.67倍に増加しています。これに対し、日本全体の窃盗犯は429,038件から173,507件へ約59.6%減少しました。

    つまり、風俗犯が増加し、窃盗犯が減少しているという方向は、来日外国人だけでなく、日本全体にも共通しています。来日外国人による風俗犯の増加倍率は日本全体より高いものの、この数字だけをもって、外国人の増加によって日本の治安が悪化したと結論付けるのは、まだ早いと考えます。

    統計は比較する期間と罪種を分けて見る

    上記のとおり、外国人犯罪については、比較する期間や罪種によって異なる動きが見られます。

    個別事件や一部の罪種だけではなく、長期的な推移、直近の変化、日本全体の犯罪動向を分けて確認することが重要です。

    外国人を雇用する企業についても、報道や一般的な印象だけで判断するのではなく、個々の外国人について在留カード、在留期間、就労制限、資格外活動許可の有無を確認し、実際に担当させる業務が在留資格に適合しているか確認する必要があります。

    ICY行政書士事務所は、大阪市中央区・本町駅徒歩3分の事務所として、外国人の在留資格・入管手続の相談に対応しています。在留資格、雇用条件、必要な届出及び許認可は状況によって異なるため、就労開始又は事業開始前の早めの確認が重要です。

    参考資料・URL

    警察庁「令和7年における組織犯罪の情勢」
    https://www.npa.go.jp/news/release/r7jyousei_shuusei.pdf

    警察庁「犯罪統計」
    https://www.npa.go.jp/publications/statistics/sousa/statistics.html

    警察庁「来日外国人犯罪の情勢」
    https://www.npa.go.jp/hakusyo/h28/honbun/html/s4310000.html

    出入国在留管理庁「令和7年末現在における在留外国人数について」
    https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/13_00062.html

    出入国在留管理庁「平成17年末現在における外国人登録者数」
    https://www.moj.go.jp/isa/content/001359136.pdf

    出入国在留管理庁「新しい在留管理制度に関するQ&A」
    https://www.moj.go.jp/isa/publications/faq/newimmiact_4_q-and-a_page2.html

    東京新聞「外国人犯罪は増えた?減った? 統計データで確認」
    https://www.tokyo-np.co.jp/article/422052

  • 日本版DBSの情報管理規程と社内体制

    「犯罪事実確認の結果は、園長や採用担当者で共有してよいのか」「確認書をPDFで保存してもよいのか」「退職した職員の記録はいつ消すのか」。日本版DBSでは、犯罪事実確認を行うだけでなく、その結果を厳格に管理する体制が求められます。

    日本版DBSの根拠法は、「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律」です。一般に「こども性暴力防止法」と呼ばれ、2026年12月25日に施行されます。2026年7月現在は施行前ですが、こども家庭庁から情報管理規程のひな型や研修資料が公表されているため、対象事業者は施行前から準備を進める必要があります。

    犯罪事実確認の結果は特に慎重な管理が必要

    幼稚園、学校、認可保育所などの学校設置者等は、法律上の義務対象です。学習塾、スポーツクラブ、認可外保育施設、放課後児童クラブなどの民間教育保育等事業者は、こども家庭庁の認定を受けた場合に、犯罪事実確認や情報管理措置を行います。

    犯罪事実確認書だけでなく、その内容を書き写したメモやデータも「犯罪事実確認記録等」に含まれます。「前科あり」「前科なし」といった記載や、いわゆる「黒」「白」と表現した記録も、確認書の内容を示すため対象となります。

    これらの情報が漏えいすると、本人の権利利益や生活に重大な影響を与える可能性があります。そのため、閲覧できる人を必要最小限に限定し、確認書の内容を別の書類やシステムへ記録・保存することは極力避けることが基本です。

    情報管理規程は3つの運用方法から考える

    義務対象事業者は施行時までに、認定対象事業者は認定申請時までに、情報管理規程を整備する必要があります。

    こども家庭庁は、事業者の運用に応じて3種類のひな型を公表しています。

    1つ目は、責任者1人だけが「こまもろうシステム」上で確認し、システム外には記録を保存しない方法です。

    2つ目は、責任者を含む複数人がシステム上で確認するものの、システム外には保存しない方法です。

    3つ目は、複数人が確認し、システム外にも記録を作成・保存する方法です。

    人数が少ない事業者であっても、複数の職員に確認結果を広く共有する必要はありません。まずは、システム上だけで確認し、別の記録を作らない運用が可能かを検討することが重要です。

    情報管理規程には、管理責任者、取扱担当者、アクセス権限、閲覧・保存・伝達・廃棄の手順、漏えい時の報告体制などを定めます。取扱者への研修も必要です。こども家庭庁は、3つのひな型に対応した情報管理担当者向けの解説動画・資料も公開しています。

    紙・パソコン・メールの管理方法も決める

    犯罪事実確認記録等を取り扱う端末は業務用とし、私用のスマートフォンやパソコンは使用しないことが求められます。OSやアプリを最新の状態に保ち、不正アクセス対策、アクセス制限、認証設定なども必要です。

    紙で保存する場合は、誰でも開けられるキャビネットに保管せず、施錠や鍵の管理を行います。画面ののぞき見、印刷物の置き忘れ、誤送信、USBメモリの紛失なども想定しなければなりません。

    事業者内で情報を扱った場合は、確認書を閲覧した日時と担当者、記録を作成した理由、伝達先、保存場所、廃棄日などを取扱記録に残し、責任者が定期的に確認します。自己点検や監査を行い、不備が見つかった場合は規程と運用を見直す必要があります。

    犯罪事実確認記録等は、犯罪事実確認や必要な防止措置以外の目的で利用することはできません。職員への注意喚起、採用担当者間の参考資料、別の事業所への人物情報の提供などを目的として、自由に利用・共有できる情報ではありません。

    退職後30日以内の廃棄にも注意

    犯罪事実確認記録等には、廃棄・消去の期限があります。

    職員が離職した場合は、原則として離職等の日から30日を経過する日までに廃棄・消去します。事業者が制度の対象でなくなった場合も、その日から30日以内が基準です。

    職員が対象業務を継続している場合は、犯罪事実確認の確認日から5年後が属する年度の末日を基準として、その後30日以内に廃棄・消去します。再確認を行う場合は、新しい確認結果の管理と古い記録の廃棄を連動させる必要があります。

    紙は復元できない方法で処分し、電子データも容易に復元できない方法で消去します。一般の機密文書処理会社などへ安易に廃棄を委託すると、禁止される第三者提供に該当するおそれがあるため、事業者自身で適切に処理する必要があります。

    漏えいや紛失、第三者への誤送信などが発生した場合は、直ちにこども家庭庁へ報告します。ガイドラインでは、速報の目安として事態を知った時点から3~5日以内が示されています。個人情報保護法に基づく報告や本人通知が別途必要になる場合もあるため、事業者だけで判断せず、早めに専門家へ相談してください。

    日本版DBSは、犯罪事実確認書を取得すれば終わる制度ではありません。誰が確認し、どこに保存し、誰に伝え、いつ消去するのかを規程と実際の運用で一致させることが重要です。

    まずは、対象業務と対象職員を洗い出したうえで、情報を取り扱う責任者と担当者を決めてください。認定申請を予定する事業者は、情報管理規程、取扱記録、運用体制、GビズIDなどの準備を早めに進める必要があります。

    ICY行政書士事務所は、大阪市中央区・本町駅徒歩3分の事務所で、日本版DBSの認定申請及び運用準備の相談に対応しています。認定申請書類、情報管理規程その他の行政書類の作成支援についてご相談いただけます。個人情報漏えいや法的紛争に関する判断が必要な場合は、弁護士その他の専門家と連携して対応することが重要です。

  • 外国人職員の日本版DBS対応と採用準備

    「外国人職員も犯罪事実確認の対象になるのか」「海外から採用する場合、来日前に手続できるのか」「パスポートだけで足りるのか」。外国人の保育士、英会話講師、スポーツ指導員などを雇用する事業者では、日本版DBSへの対応を採用手続と併せて考える必要があります。

    日本版DBSの根拠となる法律は、「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律」です。一般に「こども性暴力防止法」と呼ばれ、2026年12月25日に施行されます。

    外国人職員も国籍を理由に対象外にはならない

    犯罪事実確認の対象になるかどうかは、国籍ではなく、事業者と担当業務によって判断します。

    幼稚園、学校、認可保育所などの「学校設置者等」は法律上の義務対象です。一方、学習塾、スポーツクラブ、認可外保育施設などの民間教育保育等事業者は、こども家庭庁の認定を受けることで制度の対象となります。

    そのうえで、外国人職員が教員、保育士、塾講師、英会話講師、スポーツ指導員などの対象業務に従事する場合は、日本人職員と同様に犯罪事実確認が必要となります。外国人であることや、パート、アルバイト、派遣などの雇用形態だけを理由に対象外とはなりません。

    反対に、対象事業者で働いていても、担当業務が法律上の対象業務に該当しなければ、当然に確認対象となるわけではありません。事業内容、職員の業務及びこどもとの接し方によって判断が異なります。

    犯罪事実確認は内定前にはできない

    犯罪事実確認は、応募者全員について自由に行える一般的な身元調査ではありません。犯罪歴に関する情報は機微性が高いため、対象業務に従事することが決定していない段階では確認できないとされています。

    そのため、採用内定や配置決定などにより、対象業務へ従事することが決まった後に手続を行います。新たに対象業務へ従事する職員は、原則として従事開始日までに確認を終えなければなりません。

    海外から採用する外国人については、海外にいる間でも犯罪事実確認の手続が可能です。こども家庭庁のガイドラインでは、来日後に特定性犯罪前科が判明し、予定していた対象業務に就けなくなる事態を避けるため、可能な限り採用選考時に申告を確認し、出国前に手続を終えることが望ましいとされています。

    在留資格認定証明書の申請、査証手続、日本への入国、入社研修、現場配置という日程に、犯罪事実確認の期間も組み込む必要があります。

    外国籍職員が準備する情報と書類

    犯罪事実確認は、原則として「こまもろうシステム」と呼ばれるオンラインシステムで行います。

    事業者はGビズIDを取得して事業者アカウントを作成し、対象職員の氏名、メールアドレス、従事予定日、勤務先、担当業務などを登録します。また、内定通知書や雇用契約書など、職員が対象業務に従事することを証明する書類も必要です。

    外国籍の職員本人は、氏名、住所、生年月日、性別などに加え、来日履歴、氏名のカナ表記、重国籍の有無などを入力します。提出書類として、在留カード、住民票、旅券の写し等が求められます。

    過去に氏名、国籍、性別又は生年月日の変更がある場合は、その変更を証明する本国の戸籍相当書類も必要です。変更がない場合には、その旨を証明又は誓約する書類が必要となる場合があります。

    書類上のアルファベット表記、在留カードの表記、通称名、カナ表記が一致しない場合は、本人確認に時間がかかる可能性があります。採用時には、現在の氏名だけでなく、旧氏名、別名、国籍変更の有無も早めに確認しておくことが重要です。

    外国籍の場合は1~2か月を見込む

    こども家庭庁のQ&Aでは、犯罪事実確認書の標準処理期間は、日本国籍者が2週間から1か月程度、外国籍者が1か月から2か月程度とされています。書類の不備や氏名変更などの確認が必要な場合は、さらに時間を要する可能性があります。

    急な欠員など、やむを得ない事情がある場合には、例外的に従事開始後3か月以内、一定の場合は6か月以内に確認する「いとま特例」が適用されることがあります。

    ただし、単に採用手続が遅れたことや、本人への書類案内が遅かったことだけで当然に利用できる制度ではありません。特例を利用する間は、対象職員をこどもと一対一にさせないなどの措置も必要です。

    外国人採用では、在留資格の手続だけを基準に入社日を決めず、犯罪事実確認に必要な期間を含めた採用工程を作成してください。

    海外の経歴確認と情報管理にも注意

    犯罪事実確認では、こども家庭庁が出入国在留管理庁や法務省刑事局などに照会する手続が示されています。外国の行政機関が保有する犯罪記録を一括して取得する制度とはされていないため、日本版DBSの結果だけで、海外を含む全ての経歴が確認されたと扱うことは適切ではありません。

    一方、事業者が独自に外国の無犯罪証明書や誓約書を求める場合は、全ての外国人に一律の負担を課すのではなく、その必要性、取得可能性、採用条件との関係を慎重に検討する必要があります。就業規則、採用拒否、内定取消しなどの労務判断は、社会保険労務士又は弁護士へ確認することが適切です。

    また、犯罪事実確認書や確認結果は、社内で自由に共有できる情報ではありません。取扱担当者を必要最小限に絞り、閲覧権限、保存方法、持出し制限、廃棄方法などを情報管理規程で定める必要があります。

    日本版DBSは犯罪事実確認だけで完結する制度ではありません。外国人職員にも理解できる言語や方法で、こどもとの接し方、私的なSNS連絡の禁止、一対一になる場面の管理、相談・通報ルールなどを周知し、研修を実施することが重要です。

    まずは、外国人職員を含む対象業務と対象職員を洗い出し、必要書類の収集時期、在留資格手続、入社日、犯罪事実確認の申請時期を一つの工程表にまとめてください。

    ICY行政書士事務所は、大阪市中央区・本町駅徒歩3分の事務所で、日本版DBSの認定申請及び運用準備の相談に対応しています。認定申請書類、対象業務・対象職員の整理、GビズIDや電子申請の準備についてご相談いただけます。

  • 工場駐車場の太陽光補助

    工場や物流倉庫、大型店舗の駐車場にソーラーカーポートを設置し、電気代の削減や停電対策につなげたいと考える事業者も増えています。

    大阪市では、令和8年度「新たな手法による太陽光発電設備導入補助金」により、国の駐車場型太陽光発電設備導入事業を利用する事業者に対して、補助金を上乗せしています。

    ただし、駐車場があれば対象になるわけではありません。発電した電気を設置施設でどの程度使用できるかが、重要な判断材料になります。

    大阪市内の工場・倉庫・大型店舗が有力

    大阪市の補助対象となるのは、市内にソーラーカーポート、垂直型太陽光発電設備などを導入し、対象となる国の補助金について交付決定を受けた事業です。

    大阪市の上乗せ額は、パワーコンディショナの出力1kW当たり8万円で、上限は2,000万円です。国の補助額と合算すると、1kW当たり16万円となります。

    大阪市の申請期間は、令和8年7月8日から10月30日までです。ただし、令和8年度の国補助金は、一次公募、二次公募とも既に終了しています。そのため、現時点では、既に国へ応募している事業者や、今後交付決定を受ける予定の事業者が主な対象になります。

    重要なのは50%以上の自家消費

    国の補助金では、導入した太陽光発電設備による発電量の50%以上を、設備を設置する敷地内で自家消費する必要があります。

    ソーラーカーポートと垂直型太陽光発電設備は、原則としてパワーコンディショナの最大定格出力の合計が10kW以上であることも必要です。停電時に電力を供給できるシステム構成とし、FIT・FIP制度の認定を取得しないことなども要件となっています。

    この条件から考えると、対象になりやすいのは、単に広い駐車場を持つ事業者ではなく、昼間に多くの電気を使用する事業者です。

    例えば、製造機械を稼働させる工場、冷蔵・冷凍設備を使用する物流倉庫、空調や照明の電力消費が大きい大型店舗などが考えられます。これは業種だけで決まるものではなく、実際の発電量と電力使用量によって判断されます。

    月極駐車場のように、駐車場内や同一敷地内に大きな電力需要がない場合は、50%以上の自家消費要件を満たしにくい可能性があります。

    申請前に電力使用量を確認する

    導入を検討する際は、まず電力会社の請求書や使用量データを確認し、太陽光発電設備を設置した場合に、発電した電気をどの程度施設内で使用できるかを試算します。

    併せて、次の事項を整理します。

    ・駐車場の面積と駐車台数
    ・土地と建物の所有関係
    ・日中の電力使用状況
    ・設置できる太陽光発電設備の容量
    ・停電時に電力を供給したい設備
    ・工事費と自己資金の見通し
    ・PPAやリースを利用するか

    国の審査では、事業計画の実現可能性、資金調達計画、CO2削減効果、自家消費率などが確認されます。自家消費率が高いことは評価項目の一つですが、条件を満たしていても採択が保証されるわけではありません。

    交付決定前の発注に注意

    施工会社の選定や見積りの取得は、交付決定前に進めることができます。ただし、工事契約や正式な発注は、国の補助金の交付決定日以降に行わなければなりません。

    交付決定前に契約、発注、発注請書の取り交わしなどを行った経費は、補助対象になりません。発注先は、原則として競争入札または3者以上の見積り合わせにより選定します。

    国の補助事業期間は、交付決定日から令和9年1月31日までです。期間内に設備の設置や支払いを完了できるよう、工程を組む必要があります。大阪市への申請では、国補助金の申請書一式と交付決定通知書のほか、事業計画書、登記事項証明書、納税証明書などを提出します。

    ソーラーカーポートの設置では、規模、構造、設置場所等によって建築、消防、電気関係の確認や手続が必要になる場合があります。補助金の交付決定を受けても、必要な許認可や法令上の確認を終えたことにはなりません。状況によって対応が異なるため、契約前に所管行政庁や建築士等へ確認することが重要です。

    補助金の利用を検討する場合は、設備の契約や発注を行う前に、電力使用量、国と大阪市の申請日程、工事期間、必要な行政手続を整理してください。

    ICY行政書士事務所は、大阪市中央区・本町駅徒歩3分で、補助金申請の相談に対応しています。

  • 「クルドカー」は過積載なのか?写真から分かることと分からないことを行政書士が解説

    解体木材や廃材を高く積み上げたトラックが、インターネット上で「クルドカー」と呼ばれることがあります。

    掲載写真の車両も、荷台いっぱいに木材や廃材を積み、積荷の上端が運転席の屋根よりかなり高い位置に達しています。外観だけを見ると、「明らかな過積載ではないか」と感じる方も多いでしょう。

    しかし、法律上の過積載は、荷物の高さや体積ではなく、実際の積載重量が車検証に記載された最大積載量を超えているかによって判断されます。

    したがって、この写真だけで過積載と断定することはできません。

    過積載は最大積載量と実際の重量で判断する

    道路交通法では、車両ごとに定められた積載重量の制限を超えて運転することが禁止されています。

    過積載量は、次の計算で確認できます。

    実際の積載重量-車検証上の最大積載量=過積載量

    例えば、最大積載量が2,000キログラムの車両に2,500キログラムの荷物を積んだ場合、500キログラムの過積載です。

    ただし、一般に「2トントラック」と呼ばれている車両でも、車検証上の最大積載量が必ず2,000キログラムであるとは限りません。荷台の形状、架装、クレーンその他の装備によって、積載できる重量が異なるためです。

    そのため、過積載の判断には、まず対象車両の車検証を確認する必要があります。

    掲載写真の車両は過積載なのか

    写真の車両は、小型トラックに大量の木材や解体廃材を積載しているように見えます。

    もっとも、木材の重量は、樹種、寸法、乾燥状態、水分量などによって変わります。解体材に金属、コンクリート、石こうボードなどが付着又は混在していれば、さらに重くなります。

    一方、乾燥した木材が中心で、積荷の間に大きな隙間がある場合には、外観から想像するほどの重量がない可能性もあります。

    この写真から確認できるのは、積荷の体積が非常に大きいことまでです。実際の重量は分かりません。

    過積載の有無を確認するには、積載状態の車両を計量し、車両本体、乗員、工具、装備品などの重量を差し引いて、荷物だけの重量を求める必要があります。

    したがって、この写真については、次のように評価するのが適切です。

    外観上、過積載を疑われても不自然ではない積載量であるが、実測重量が不明であるため、道路交通法上の過積載とは断定できない。

    これは法律の基準が曖昧だからではありません。写真だけでは、その基準に当てはめるための重量が確認できないためです。

    警察は車検証と計量結果を確認する

    過積載が疑われる車両について、警察官は車両を停止させ、車検証などの提示を求めることがあります。

    そのうえで車両を計量し、実際の積載重量が車検証上の最大積載量を超えているかを確認します。

    運転者が「木材だから軽い」「普段から同じ程度を積んでいる」と説明しても、実測重量が最大積載量を超えていれば過積載です。反対に、積荷が大量に見えても、最大積載量以内であれば、重量に関する過積載には該当しません。

    過積載でなくても適法とは限らない

    トラックの積載には、重量のほか、積載物の高さ、前後左右へのはみ出し、転落・飛散防止措置に関する制限があります。

    積荷の高さ

    一般的な自動車では、積載物の上端は原則として地上3.8メートル以内に収める必要があります。

    掲載写真では、積荷が運転席の屋根よりかなり高い位置まで達しています。2トンクラスの標準的な小型トラックは、運転席の屋根までがおおむね2メートル前後です。

    もっとも、写真は車両の斜め後方から撮影されており、遠近法の影響があります。また、道路面から積荷の最上部までの距離も測定されていません。

    そのため、高さ制限を超えている可能性は検討できますが、写真だけで地上3.8メートルを超えているとは判断できません。

    前後左右へのはみ出し

    荷物が荷台から少しはみ出していること自体は、直ちに違法ではありません。

    一般的な自動車では、積載物の長さや幅について一定の範囲が認められており、その範囲内であれば、車体の前後左右から荷物が出ていても積載できます。

    注意すべきなのは、基準となるのが荷台の端ではなく、車両全体の長さ及び幅であることです。

    掲載写真では、木材の一部が荷台の後方や側方に出ているように見えますが、車体の端から何センチメートルはみ出しているかは測定できません。したがって、この点についても実測が必要です。

    写真で特に確認が必要なのは積荷の固定

    掲載写真では、荷台の側面や下部にロープが掛けられていることが確認できます。

    一方、積荷の上部には、長い木材や不規則な形状の廃材が重ねられています。上部の木材まで十分に固定されているか、小さな破片が走行中に落下又は飛散しない状態になっているかは、写真から明確に確認できません。

    道路交通法は、積載物が転落又は飛散しないよう、運転者に必要な措置を求めています。

    必ず荷台全体をシートで覆わなければならないわけではありません。重要なのは、積荷の形状や量に応じて、ロープ、ベルト、ネット、シートなどを用い、急ブレーキ、カーブ、振動などによって荷物が動かない状態にしているかです。

    この写真については、ロープが見えることだけをもって安全とはいえません。しかし、上部の固定方法が写真に写っていない可能性もあるため、直ちに転落・飛散防止措置義務違反と断定することもできません。

    現場では、主に次の点を確認することになります。

    • 上部の長い木材まで固定されているか
    • 小さな木片が隙間から落下しないか
    • 急ブレーキやカーブで荷崩れしないか
    • ロープ等が適切な位置に掛けられ、十分に締め付けられているか

    この写真についての法的評価

    上記のとおり、掲載写真から確認できるのは、積荷の体積が大きく、高さや固定状況について確認を要する外観であることまでです。

    過積載を認定するには、車検証上の最大積載量と実測重量が必要です。また、高さ及びはみ出しについては寸法測定、転落・飛散防止措置については現物の固定状況を確認しなければなりません。

    したがって、専門的には次のように整理できます。

    掲載写真の車両は、外観上、過積載が疑われる積載状態ではあるものの、実測重量が不明であるため、道路交通法上の過積載とは断定できない。積載物の高さ、はみ出し及び転落・飛散防止措置についても確認を要するが、写真のみでは違反の成立までは判断できない。

    まとめ

    いわゆる「クルドカー」が過積載かどうかは、見た目ではなく、車検証上の最大積載量と実際の積載重量によって判断されます。

    掲載写真についても、上記のとおり、違反の疑いを検討する余地はありますが、結論を出すには、車検証、重量、寸法及び固定状況の確認が必要です。

  • 包装機の導入に使える補助金は?申請前の注意点

    食品や商品を手作業で袋詰めしており、自動包装機、袋とじ装置、シュリンク包装機などを導入したい事業者も多いでしょう。包装機は補助対象になる可能性がありますが、「包装機を買えば利用できる」という制度ではありません。省力化の効果、対象製品、賃上げ計画、発注時期などを確認する必要があります。

    包装機に使える主な補助金

    有力な制度は「中小企業省力化投資補助事業」です。カタログ注文型と一般型があり、まず公式カタログに導入予定製品が掲載されているかを確認します。

    カタログには、食品自動袋とじ装置、シュリンクフィルム収縮装置、パレットストレッチフィルム包装機などの製品カテゴリがあります。ただし、同じ種類の包装機でも、具体的な製品と販売事業者が登録されていなければカタログ注文型の対象にはなりません。

    2026年7月16日現在、カタログ注文型は随時受付中です。補助率は2分の1以下で、上限は従業員5人以下200万円、6~20人500万円、21人以上1,000万円です。一定の賃上げ要件を満たす場合は、それぞれ300万円、750万円、1,500万円に引き上げられます。

    自社の製造ラインに合わせて、計量機、搬送装置、検査装置、包装機、管理システム等を組み合わせる場合は、一般型を検討できます。第7回公募は2026年7月1日から7月31日17時まで受付中で、申請にはGビズIDプライムが必要です。

    一般型の補助率は中小企業が2分の1、小規模事業者等が3分の2です。上限は従業員5人以下750万円、6~20人1,500万円から、従業員規模に応じて最大8,000万円です。大幅賃上げ特例では最大1億円となります。

    ただし、一般型では単なる汎用品の購入ではなく、ICT、IoT、AI、ロボット、センサー等を活用し、個別の工程に合わせて設計・構成された設備による省力化が重視されます。また、労働生産性の年平均4%以上の向上、1人当たり給与支給総額の年平均3.5%以上の増加、事業場内最低賃金を地域別最低賃金より30円以上高くすることなどが基本要件です。

    交付決定前に包装機を発注しない

    一般型の対象経費は、交付決定日以後に契約・発注し、事業実施期間内に納品、検収、支払いまで完了したものです。応募しても、採択された時点では購入できません。採択後に交付申請を行い、交付決定を受けてから発注します。

    機械装置・システム構築費は必須で、税抜50万円以上の設備投資が少なくとも1件必要です。中古品、一般車両、設置場所の基礎工事や整備工事などは対象外です。

    また、契約先1者当たりの見積額が税抜50万円以上となる場合は、原則として同一条件による相見積もりが必要です。最低価格以外の事業者を選ぶ場合や、特殊仕様のため2者以上から見積もりを取れない場合は、選定理由書や価格の妥当性を示す資料を準備します。

    申請から入金までの流れ

    準備段階では、現在の包装作業に必要な人数と時間、不良率、処理数量、導入後の削減時間、売上や付加価値への効果を整理します。

    主な提出書類は、事業計画書、直近2期分の損益計算書・貸借対照表、1人当たり給与支給総額の確認書、設備の仕様書・参考見積書などです。法人は登記事項証明書や納税証明書、個人事業主は確定申告書等も必要です。電子申請は、申請者自身が内容を理解し、確認したうえで行います。

    その後は、応募申請、採択、交付申請、交付決定、発注・契約、納品・検収・支払い、実績報告、確定検査、補助金請求・入金という順で進みます。補助金は原則として事業完了後の精算払いです。交付決定額がそのまま支払われるとは限らないため、設備代金を先に支払える自己資金又は融資の確認も必要です。

    設備や事業内容を変更する場合は、事前承認が必要となることがあります。見積書、発注書、契約書、請求書、振込記録等の証拠書類は整理し、事業完了年度の終了後5年間保存しなければなりません。

    食品営業許可との関係

    食品の包装工程を新設・変更する場合は、取り扱う食品や作業内容によって、食品の小分け業、密封包装食品製造業、そうざい製造業などの許可又は営業届出が必要となる場合があります。密封包装する食品の種類によっても、営業許可と営業届出の取扱いが異なります。

    包装場所や機械器具についても、衛生的に包装できる場所を設けることや、機械を洗浄・保守・点検しやすい構造にすることなどの施設基準があります。

    営業内容、設備、施設及び所在地等によって必要な許認可が異なるため、設備の仕様やレイアウトを確定する前に所管保健所へ確認する必要があります。

    補助金に採択されても営業許可を取得したことにはならず、許可上必要な包装機でも補助対象になるとは限りません。補助金の交付決定時期、工事・納品、保健所への事前相談、許可申請、施設検査、営業開始の予定を一つの工程表で管理することが重要です。

    包装機の補助金は、製品選定や発注を先に進めると利用できなくなる場合があります。契約、発注、購入又は支払いの前に、対象制度と許認可の要件を確認してください。

    ICY行政書士事務所では、補助金制度の整理、事業計画書・申請書類の作成支援、採択後の書類作成支援、行政書士業務に属する許認可申請についてご相談いただけます。大阪市中央区、本町駅徒歩3分の事務所で、補助金申請の相談に対応しています。

  • 大阪府介護テクノロジー補助金

    介護ソフトや見守り機器を導入すれば、それだけで補助対象になると思っていないでしょうか。

    令和8年度大阪府介護テクノロジー導入支援事業補助金では、2026年7月14日に交付申請方法と様式が更新されました。特に居宅介護支援・居宅サービスでは、システムを契約するだけでなく、実際にケアプランデータを送受信した実績が必要です。実績を示せない場合は、機器代金を支払った後でも補助対象外となります。

    現在は交付申請の準備段階

    この補助金は、介護現場の業務効率化や職員の負担軽減につながる介護テクノロジー等の導入を支援する制度です。

    対象は、大阪府内で介護保険法に基づくサービスを提供する事業所、養護老人ホーム、軽費老人ホームです。有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅は、特定施設入居者生活介護の指定を受けている場合に限られます。

    2026年度の事前エントリーは、7月13日17時で終了しました。8月に結果が公表され、交付申請の対象となった事業所が、府から指定された期限までに正式な交付申請を行います。

    事前エントリーや抽選通過は、補助金の交付決定ではありません。交付申請後の審査で対象外経費や要件不足が判明した場合は、申請額が減額されたり、交付決定を受けられなかったりする可能性があります。

    補助率と対象となる経費

    補助率は、消費税及び地方消費税を除く補助対象経費の5分の4です。

    介護テクノロジーは原則として1台30万円が上限ですが、移乗支援、入浴支援、介護業務支援に該当するインカムは、1台100万円が上限です。

    介護ソフトは契約形態や職員数に応じて、ソフト単体で最大250万円、Wi-Fi整備や端末等の付帯経費を含む場合は最大265万円です。複数の機器を連携させるパッケージ型導入は合計1,000万円、導入と一体で行う業務改善支援は48万円が上限となります。

    介護ソフトは、記録、情報共有、請求を一気通貫で行えることが必要です。記録だけ、または請求だけを行うソフトを単体で申請する場合は、TAISに掲載されていても対象外です。

    他の補助金等が充当される経費、防犯目的の監視カメラ、必要数を超える予備の端末なども、補助対象外となる場合があります。

    導入しただけでは足りない補助要件

    居宅介護支援・居宅サービスでは、2026年度中にケアプランデータ連携システムで、実際にデータ連携を行う必要があります。

    実績報告では、ログイン後のトップ画面に加え、送信一覧または受信一覧の画面を撮影した写真やスクリーンショット等を提出します。

    今回、介護ソフトを補助対象として申請しない場合でも、対応する介護ソフトを既に導入しているなど、実際にデータ連携できる環境が必要です。

    また、所定の施設系サービスでは、利用者の安全確保、介護サービスの質、職員の負担軽減を検討する委員会を年度内に設置し、実績報告時に確認書類を提出します。

    介護テクノロジー活用支援セミナーの受講またはアーカイブ視聴、SECURITY ACTIONの宣言、業務改善計画の作成も必要です。事業所のサービス種別や導入内容によって必要な対応は異なります。

    契約から実績報告までの注意点

    本補助金では、2026年4月1日以降の対象経費であれば、交付申請日以前の経費も対象になり得ます。

    ただし、契約、発注、納品、導入及び代金の支払いを、すべて2027年1月31日までに完了しなければなりません。一般的な補助金とは契約・発注時期の取扱いが異なるため、対象機器や要件を確認せずに購入すると、全額自己負担になるおそれがあります。

    交付申請は、大阪府行政オンラインシステムによるデータ送信と、申請書類一式の郵送の両方が必要です。

    見積書は複数の業者から取得し、法人名・事業所名、製品名、型番、消費税、対象外経費を明確にします。クレジットカードによる購入は原則として認められていません。

    交付申請では、見積書、カタログ、指定通知書・許可通知書、登記事項証明書、通帳の写しなどを準備します。設備、取引先、金額または事業内容を変更する場合は、事前に変更承認が必要となることがあります。

    事業完了後20日以内、遅くとも2027年2月19日必着で実績報告を行います。報告内容の審査と補助金額の確定後、2027年3月中に補助金が振り込まれる予定です。

    設備代金等は事業者が先に支払うため、入金までの資金計画も必要です。補助事業の証拠書類は原則10年間保存し、導入した翌年度から3年間は、業務改善効果の報告が求められます。

    補助金の交付決定を受けても、介護保険サービスの指定や変更手続が完了するわけではありません。新規開設、移転、定員変更などを伴う場合は、指定権者との事前協議、人員・設備基準、補助事業の期限をそれぞれ確認する必要があります。

    ICY行政書士事務所は、大阪市中央区・本町駅徒歩3分にあり、補助金申請の相談に対応しています。介護事業所の指定手続と、機器の契約、導入、実績報告までのスケジュール整理についてもご相談いただけます。

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