カテゴリー: 入管業務

  • 永住許可はどう変わる?改定案を分かりやすく解説

    「永住許可の条件が厳しくなるらしい」「今後は年収や日本語能力も審査されるのか」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

    2026年、永住許可の審査基準を見直すための「永住許可に関するガイドライン改定案」が公表されました。改定案には、収入基準の引上げ、年金受給見込額の確認、日本語能力の評価など、これまで以上に具体的な審査項目が盛り込まれています。

    ただし、今回公表された内容はパブリックコメントの対象となる案であり、現時点で適用されている永住許可の審査基準ではありません。本記事では、改定案の全体像と現行制度との違いを整理します。

    永住許可ガイドライン改定案とは

    永住許可とは、外国人が在留期間の制限を受けずに日本で生活するための許可です。許可を受けると、原則として在留期間の更新が不要となり、就労できる職種にも在留資格上の制限がなくなります。

    もっとも、永住許可は申請すれば当然に認められるものではありません。現在も、素行が善良であること、独立して生計を営めること、永住を認めることが日本の利益に合すると認められることなどが審査されています。

    今回の改定案は、これらの判断基準をより具体化し、永住者として日本で安定した生活を続けられるか、日本社会との関係を築いているかという点を、これまで以上に重視する内容となっています。

    パブリックコメントとは、行政機関が制度や規則を定める前に、その案を公表して広く意見を募集する手続です。寄せられた意見を踏まえて内容が修正される可能性があるため、公表された案がそのまま正式な基準になるとは限りません。

    改定案で示された主な変更点

    改定案で特に大きな変更となるのが、収入に関する考え方です。

    現行ガイドラインでは、独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有することが求められています。改定案では、世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準の年収を継続して得ていることを確認する方向性が示されました。

    単に申請時点の収入が高ければよいのではなく、一定の収入を継続して得ているかが重要になると考えられます。実際の判断では、本人の収入だけでなく、配偶者の収入、扶養家族の人数、世帯全体の生活状況なども関係する可能性があります。

    また、新たに将来の年金受給見込額を確認する案も示されています。目安として、一定の年収水準で30年間厚生年金に加入した場合に相当する受給水準が想定されています。ただし、見込額が不足していても、資産やその他の収入によって補える可能性がある場合は、その事情を考慮するとされています。

    日本語能力については、CEFR又は日本語教育の参照枠におけるB1相当の水準が示されました。B1は、日常生活や職場などで必要となる内容をある程度理解し、自分の考えを説明できる段階を指します。

    さらに、独立自営業、研究、教育、地域活動などを通じて日本社会に具体的に貢献している場合は、積極的に評価する方針が示されています。反対に、日本の制度への理解が乏しい場合や、義務教育期間中の子どもを就学させていない場合は、消極的に評価される可能性があります。

    現行制度との違い

    現在の永住許可審査でも、収入、納税、年金や健康保険料の納付、在留状況、交通違反を含む法令違反などが確認されています。

    一方、改定案では、世帯人数に応じた収入水準、将来の年金受給見込額、日本語能力、日本社会への具体的な貢献などが、審査上の評価項目として明確に示されています。

    現行制度では、日本語試験への合格は一般的な永住許可の明示的な要件とはされていません。また、日本社会への貢献についても、すべての申請者に一律に具体的な立証が求められているわけではありません。

    改定案が実施されれば、税金や社会保険料を適切に納付しているだけでなく、日本で安定した生活基盤を築き、社会との関係を形成していることを、より具体的に説明する必要が生じると考えられます。

    日本人又は永住者の配偶者等に認められている在留期間要件の特例についても見直しが示されています。改定案では、婚姻期間と日本での在留期間を現在より長くする方向となっており、配偶者として申請する方への影響も小さくありません。

    現在の申請に直ちに適用されるわけではない

    上に述べた通り、今回の内容はパブリックコメントに付された改定案です。現時点で永住許可を申請する方には、現在のガイドラインと審査運用が適用されます。

    そのため、日本語能力B1相当の証明がなければ申請できない、改定案に示された収入水準を満たさなければ直ちに不許可になると判断するのは適切ではありません。

    改定案では、収入に関する要素を令和8年10月から、その他の項目を令和9年4月から適用する予定とされています。ただし、正式な内容や適用時期は、今後の手続によって変更される可能性があります。

    永住許可を申請する時期によって適用される基準が異なる可能性があるため、申請前には出入国在留管理庁が公表する最新のガイドラインを確認する必要があります。

    永住を検討している方が確認すべきこと

    現在申請を予定している方は、改定案の情報だけを見て申請を断念するのではなく、現行基準を前提として要件を確認することが重要です。

    永住許可では、在留年数だけでなく、収入の安定性、税金や社会保険料の納付期限、家族構成、在留資格、これまでの在留状況などが総合的に審査されます。必要となる資料や説明内容は、申請者の状況によって異なります。

    将来の申請を予定している場合は、納税及び社会保険料を期限内に納付し、安定した就労と収入を維持することが基本となります。改定案を踏まえると、日本語学習や地域社会との関わりについても、早めに取り組む意義が高まるでしょう。

    永住許可の制度内容、審査運用及び必要書類は変更される場合があります。申請時には、出入国在留管理庁その他の公式情報をご確認ください。

    ICY行政書士事務所は、大阪市中央区・本町駅徒歩3分の行政書士事務所です。外国人の在留資格・入管手続の相談に対応し、永住許可の要件確認、必要書類の整理及び申請書類の作成を支援しています。

  • 外国人犯罪は増えたのか

    最近、外国人による犯罪のニュースを目にする機会が増え、「実際に外国人犯罪は増えているのか」と疑問に感じる方もいるのではないでしょうか。

    警察庁の統計から確認できるのは、来日外国人犯罪は2005年からの長期では減少している一方、直近3年間は増加しているという状況です。

    過去最多の2005年より約46.8%減少

    来日外国人犯罪の総検挙件数は、過去最多だった2005年の47,865件から、2025年には25,480件となりました。20年間で22,385件、約46.8%の減少です。

    一方、2023年は18,088件、2024年は21,794件、2025年は25,480件と、直近では3年連続で増加しています。「2005年頃より少ない」という説明と「最近は増えている」という説明は、比較する期間が異なるため、どちらも統計上は間違いではありません。

    ここでいう検挙件数とは、警察が被疑者を検挙した事件の件数です。検挙された人数を示す「検挙人員」や、警察が犯罪の発生を把握した「認知件数」とは異なります。

    また、警察統計上の「来日外国人」は、我が国にいる外国人のうち、永住者、永住者の配偶者等、特別永住者などの定着居住者、在日米軍関係者等を除いた区分です。外国人全体を意味するものではありません。

    外国人人口は約2.05倍に増加

    2005年末の外国人登録者数は201万1,555人、2025年末の在留外国人数は412万5,395人であり、単純な人数比較では約2.05倍に増加しています。

    ただし、2005年と2025年では統計制度が異なります。

    2005年の外国人登録者数は、外国人登録法に基づき、市区町村が管理する外国人登録原票に登録されていた外国人の数です。当時は、入管法による在留資格・在留期間の管理と、市区町村による外国人登録が併存していました。

    2012年7月9日に外国人登録法が廃止され、新しい在留管理制度が始まりました。現在は、出入国在留管理庁が、適法な在留資格を持って中長期間在留する外国人の情報を一元的・継続的に管理しています。2025年末の在留外国人数は、中長期在留者385万8,499人と特別永住者26万6,896人を合わせた人数です。

    そのため、両年の人数は完全に同一の集計条件ではありませんが、日本で継続的に生活する外国人の規模が大きく拡大したことは確認できます。

    窃盗犯は減少、風俗犯は増加

    罪種別に見ると、来日外国人による窃盗犯は、2005年の28,525件から2025年には12,226件となり、16,299件、約57.1%減少しています。窃盗犯は現在も来日外国人の刑法犯で最も多い罪種ですが、検挙件数は2005年の半分以下です。

    一方、風俗犯(わいせつ、盗撮、賭博等)は、2005年の99件から2025年には335件となり、約3.38倍に増加しています。

    同じ期間に外国人人口は約2.05倍となっているため、来日外国人による風俗犯の増加倍率は、外国人人口の増加倍率を上回っています。両者の増加倍率を比べると、風俗犯は外国人人口の約1.65倍のペースで増えた計算となり、人口増加だけでは説明しにくい数字です。

    そのため、外国人の増加に伴い、わいせつや盗撮などを含む風俗犯が増えているとの指摘には、一定の統計的な根拠があります。

    ただし、日本全体の風俗犯の検挙件数も、2005年の6,422件から2025年には17,168件となり、約2.67倍に増加しています。これに対し、日本全体の窃盗犯は429,038件から173,507件へ約59.6%減少しました。

    つまり、風俗犯が増加し、窃盗犯が減少しているという方向は、来日外国人だけでなく、日本全体にも共通しています。来日外国人による風俗犯の増加倍率は日本全体より高いものの、この数字だけをもって、外国人の増加によって日本の治安が悪化したと結論付けるのは、まだ早いと考えます。

    統計は比較する期間と罪種を分けて見る

    上記のとおり、外国人犯罪については、比較する期間や罪種によって異なる動きが見られます。

    個別事件や一部の罪種だけではなく、長期的な推移、直近の変化、日本全体の犯罪動向を分けて確認することが重要です。

    外国人を雇用する企業についても、報道や一般的な印象だけで判断するのではなく、個々の外国人について在留カード、在留期間、就労制限、資格外活動許可の有無を確認し、実際に担当させる業務が在留資格に適合しているか確認する必要があります。

    ICY行政書士事務所は、大阪市中央区・本町駅徒歩3分の事務所として、外国人の在留資格・入管手続の相談に対応しています。在留資格、雇用条件、必要な届出及び許認可は状況によって異なるため、就労開始又は事業開始前の早めの確認が重要です。

    参考資料・URL

    警察庁「令和7年における組織犯罪の情勢」
    https://www.npa.go.jp/news/release/r7jyousei_shuusei.pdf

    警察庁「犯罪統計」
    https://www.npa.go.jp/publications/statistics/sousa/statistics.html

    警察庁「来日外国人犯罪の情勢」
    https://www.npa.go.jp/hakusyo/h28/honbun/html/s4310000.html

    出入国在留管理庁「令和7年末現在における在留外国人数について」
    https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/13_00062.html

    出入国在留管理庁「平成17年末現在における外国人登録者数」
    https://www.moj.go.jp/isa/content/001359136.pdf

    出入国在留管理庁「新しい在留管理制度に関するQ&A」
    https://www.moj.go.jp/isa/publications/faq/newimmiact_4_q-and-a_page2.html

    東京新聞「外国人犯罪は増えた?減った? 統計データで確認」
    https://www.tokyo-np.co.jp/article/422052

  • 日本版DBSの情報管理規程と社内体制

    「犯罪事実確認の結果は、園長や採用担当者で共有してよいのか」「確認書をPDFで保存してもよいのか」「退職した職員の記録はいつ消すのか」。日本版DBSでは、犯罪事実確認を行うだけでなく、その結果を厳格に管理する体制が求められます。

    日本版DBSの根拠法は、「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律」です。一般に「こども性暴力防止法」と呼ばれ、2026年12月25日に施行されます。2026年7月現在は施行前ですが、こども家庭庁から情報管理規程のひな型や研修資料が公表されているため、対象事業者は施行前から準備を進める必要があります。

    犯罪事実確認の結果は特に慎重な管理が必要

    幼稚園、学校、認可保育所などの学校設置者等は、法律上の義務対象です。学習塾、スポーツクラブ、認可外保育施設、放課後児童クラブなどの民間教育保育等事業者は、こども家庭庁の認定を受けた場合に、犯罪事実確認や情報管理措置を行います。

    犯罪事実確認書だけでなく、その内容を書き写したメモやデータも「犯罪事実確認記録等」に含まれます。「前科あり」「前科なし」といった記載や、いわゆる「黒」「白」と表現した記録も、確認書の内容を示すため対象となります。

    これらの情報が漏えいすると、本人の権利利益や生活に重大な影響を与える可能性があります。そのため、閲覧できる人を必要最小限に限定し、確認書の内容を別の書類やシステムへ記録・保存することは極力避けることが基本です。

    情報管理規程は3つの運用方法から考える

    義務対象事業者は施行時までに、認定対象事業者は認定申請時までに、情報管理規程を整備する必要があります。

    こども家庭庁は、事業者の運用に応じて3種類のひな型を公表しています。

    1つ目は、責任者1人だけが「こまもろうシステム」上で確認し、システム外には記録を保存しない方法です。

    2つ目は、責任者を含む複数人がシステム上で確認するものの、システム外には保存しない方法です。

    3つ目は、複数人が確認し、システム外にも記録を作成・保存する方法です。

    人数が少ない事業者であっても、複数の職員に確認結果を広く共有する必要はありません。まずは、システム上だけで確認し、別の記録を作らない運用が可能かを検討することが重要です。

    情報管理規程には、管理責任者、取扱担当者、アクセス権限、閲覧・保存・伝達・廃棄の手順、漏えい時の報告体制などを定めます。取扱者への研修も必要です。こども家庭庁は、3つのひな型に対応した情報管理担当者向けの解説動画・資料も公開しています。

    紙・パソコン・メールの管理方法も決める

    犯罪事実確認記録等を取り扱う端末は業務用とし、私用のスマートフォンやパソコンは使用しないことが求められます。OSやアプリを最新の状態に保ち、不正アクセス対策、アクセス制限、認証設定なども必要です。

    紙で保存する場合は、誰でも開けられるキャビネットに保管せず、施錠や鍵の管理を行います。画面ののぞき見、印刷物の置き忘れ、誤送信、USBメモリの紛失なども想定しなければなりません。

    事業者内で情報を扱った場合は、確認書を閲覧した日時と担当者、記録を作成した理由、伝達先、保存場所、廃棄日などを取扱記録に残し、責任者が定期的に確認します。自己点検や監査を行い、不備が見つかった場合は規程と運用を見直す必要があります。

    犯罪事実確認記録等は、犯罪事実確認や必要な防止措置以外の目的で利用することはできません。職員への注意喚起、採用担当者間の参考資料、別の事業所への人物情報の提供などを目的として、自由に利用・共有できる情報ではありません。

    退職後30日以内の廃棄にも注意

    犯罪事実確認記録等には、廃棄・消去の期限があります。

    職員が離職した場合は、原則として離職等の日から30日を経過する日までに廃棄・消去します。事業者が制度の対象でなくなった場合も、その日から30日以内が基準です。

    職員が対象業務を継続している場合は、犯罪事実確認の確認日から5年後が属する年度の末日を基準として、その後30日以内に廃棄・消去します。再確認を行う場合は、新しい確認結果の管理と古い記録の廃棄を連動させる必要があります。

    紙は復元できない方法で処分し、電子データも容易に復元できない方法で消去します。一般の機密文書処理会社などへ安易に廃棄を委託すると、禁止される第三者提供に該当するおそれがあるため、事業者自身で適切に処理する必要があります。

    漏えいや紛失、第三者への誤送信などが発生した場合は、直ちにこども家庭庁へ報告します。ガイドラインでは、速報の目安として事態を知った時点から3~5日以内が示されています。個人情報保護法に基づく報告や本人通知が別途必要になる場合もあるため、事業者だけで判断せず、早めに専門家へ相談してください。

    日本版DBSは、犯罪事実確認書を取得すれば終わる制度ではありません。誰が確認し、どこに保存し、誰に伝え、いつ消去するのかを規程と実際の運用で一致させることが重要です。

    まずは、対象業務と対象職員を洗い出したうえで、情報を取り扱う責任者と担当者を決めてください。認定申請を予定する事業者は、情報管理規程、取扱記録、運用体制、GビズIDなどの準備を早めに進める必要があります。

    ICY行政書士事務所は、大阪市中央区・本町駅徒歩3分の事務所で、日本版DBSの認定申請及び運用準備の相談に対応しています。認定申請書類、情報管理規程その他の行政書類の作成支援についてご相談いただけます。個人情報漏えいや法的紛争に関する判断が必要な場合は、弁護士その他の専門家と連携して対応することが重要です。

Back to top