「ものづくり補助金は、補助金が振り込まれたら手続は終わり」と考えていないでしょうか。
ものづくり補助金では、補助事業が終了して補助金を受け取った後も、「事業化状況・知的財産権等報告」が必要です。さらに、賃上げ要件の確認のため、毎年3月分の賃金台帳が重要になります。
報告をしないまま放置した場合や、入力途中のまま完了していない場合も、補助金返還の対象となる可能性があります。採択・交付決定後だけでなく、補助金受領後の管理まで含めて考えておくことが大切です。
事業化状況報告は5年間で6回
ものづくり補助金の補助事業者は、補助事業終了後、5年間にわたり合計6回の事業化状況報告を行います。事業計画が3年計画や4年計画であっても、報告自体は原則として6回です。
主な報告内容は、補助事業の事業化状況、知的財産権、直近の決算内容、給与支給総額、事業場内最低賃金などです。現在まだ補助事業の成果を事業化できていない場合でも、報告をしなくてよいわけではなく、システム上で「事業化なし」を選択して報告します。
また、補助事業による販売や知的財産権の取得などから収益が生じた場合には、一定の場合に収益納付が発生することがあります。
初回の報告時期は額の確定時期で変わる
初回の事業化状況報告をいつ行うかは、補助金の額が確定した時期によって変わります。
事務局資料では、2月末までに補助金の額の確定を受けた場合は、次に迎える4月から5月に初回報告を行い、3月以降に額の確定を受けた場合は、翌年4月から5月が最初の報告時期とされています。
そのため、「補助事業が終わった日」だけを基準に考えるのではなく、額の確定通知を確認して、自社の初回報告時期を把握しておく必要があります。
事業化状況報告システムへのログインにはGビズIDが必要です。担当者の退職やメールアドレスの変更などで、報告時期になってログインできないことがないよう、補助金受領後もアカウント情報を管理しておきましょう。
3月分の賃金台帳は2種類を準備
事業場内最低賃金の確認では、毎年「3月分」の賃金台帳が重要です。4月に昇給した場合でも、原則として報告するのは3月分です。
令和8年7月22日更新の事務局資料では、補助事業の実施場所と同じ住所地で働く従業員について、次の2種類を準備することとされています。
1つ目は、全従業員の3月分の賃金台帳です。2つ目は、事業場内で最も低い賃金で働く従業員の3月分の賃金台帳です。最低賃金対象者が複数いる場合は、そのうち1名分を提出します。
最低賃金対象者の賃金台帳には、事業者名、従業員の氏名、時給換算額の計算式なども必要です。時給換算では、基本賃金や最低賃金の対象となる手当と所定労働時間を確認します。
全従業員分については、最低賃金対象者以外の氏名をマスキングすることも可能です。一方、最低賃金対象者の氏名はフルネームが確認できる状態で提出します。
賃上げ要件の判定時期にも注意
事業場内最低賃金については、事業計画期間中、毎年要件達成の確認が行われます。一方、給与支給総額の年平均増加率については、毎年数値を入力しますが、要件達成の最終的な判定は事業計画終了後に行われるのが基本です。
判定される報告回は、3年・4年・5年といった事業計画年数のほか、初回報告時に決算書を提出するか、過去の公募回で猶予を適用しているかなどによって異なります。状況によって異なりますので、自社が採択された公募回の公募要領と事務局資料を確認する必要があります。
事業場内最低賃金などの要件を達成できない場合には、補助金の一部返還等につながる場合があります。免除規定の内容も公募回によって異なるため、現在の制度だけを見て過去の採択案件を判断しないことが重要です。
補助金受領後も資料を残しておく
ものづくり補助金は、申請して採択され、設備を導入して補助金を受け取れば終わりではありません。
決算書、賃金台帳、補助事業による売上や成果が分かる資料などを、後の事業化状況報告を意識して整理しておくと、毎年の報告を進めやすくなります。
特に賃金台帳は、2回目以降も毎年同じ考え方の処理月度で提出することが求められています。3月になってから慌てて確認するのではなく、給与計算を担当する社内担当者や税理士・社会保険労務士等とも情報を共有しておくとよいでしょう。
ICY行政書士事務所では、ものづくり補助金を含む補助金申請の相談に対応しています。補助金の申請段階だけでなく、採択後にどのような手続や報告が予定されているのかも確認したうえで、長期的なスケジュールを組んでおくことが重要です。

ご相談はこちら
初回相談無料
許認可・補助金申請・入管手続など、お気軽にお問い合わせください。
ICY行政書士事務所