「今の飲食店が順調なので、別の場所に2店舗目を出したい。店舗改装や厨房設備に補助金を使えないか」
このような場合に検討候補となるのが、2026年度から始まった「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」の新事業進出枠です。
ただし、単純に同じ店をもう1店舗出すだけでは、原則として新事業進出枠には該当しません。重要なのは「新しい店舗かどうか」ではなく、会社にとって新しい製品・サービスと、新しい市場への進出になっているかです。
同じ業態の2店舗目は対象になりにくい
新事業進出枠では、次の2つを満たす事業が対象となります。
1つ目は、新しく提供する製品・商品・サービスが、その事業者にとって新しいものであることです。
2つ目は、その製品やサービスを提供する市場も、その事業者にとって新しい市場であることです。
ここでいう「新しい市場」とは、これまで対象としていなかったニーズや属性を持つ顧客層を対象とする市場をいいます。
そのため、例えば大阪市中央区で居酒屋を経営している会社が、同じメニュー、同じサービス内容の居酒屋を大阪市北区にも出店するケースでは、単に商圏が変わっただけと判断される可能性があります。
公募要領でも、「単なるメニューの追加」や「既存の製品等が対象で、単に商圏が異なるもの」は新事業進出枠に該当しない例として明記されています。
一方、店舗型の飲食店しか運営していなかった会社が、新たな商品を開発して法人向けの食品販売を始めるなど、提供する商品・サービスと顧客層の双方が変わる場合は、新事業進出に該当する可能性があります。
単に「新店舗を出す」という計画ではなく、既存事業と新事業の違いを整理することが最初のポイントです。
店舗改装費や厨房設備も対象になる可能性がある
新事業進出枠では、機械装置・システム構築費のほか、建物費、外注費、クラウドサービス利用費、広告宣伝・販売促進費などが補助対象経費として設定されています。
特に新店舗を検討する事業者にとって大きいのが建物費です。
専ら補助事業のために使用する販売施設や作業場などについて、事業計画の実施に不可欠と認められる建設・改修費は対象となる可能性があります。一方、建物そのものの購入費や賃料は対象外です。
また、新事業進出枠では「機械装置・システム構築費」または「建物費」のいずれかを補助対象経費に含める必要があります。購入した設備や改修した建物については、原則として補助事業専用で使用することも求められています。
補助率は原則2分の1で、一定の特例を満たす場合は3分の2です。補助下限額は750万円で、従業員数に応じて補助上限額が設定され、最大7,000万円、賃上げ特例適用時は最大9,000万円となっています。
そのため、数十万円程度の小規模な店舗改装を対象とする制度ではなく、ある程度まとまった新事業への投資を想定した補助金です。
補助金だけでなく賃上げ要件も確認する
設備や改装費が対象になりそうでも、それだけで申請できるわけではありません。
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金では、補助事業終了後3~5年間の事業計画を作成し、付加価値額の年平均成長率4%以上、一人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上などの目標に取り組む必要があります。
さらに、補助事業実施場所の事業場内最低賃金について、地域別最低賃金より30円以上高い水準を維持する要件もあります。一定の要件を達成できない場合には、補助金返還が生じることもあります。
申請にはGビズIDプライムが必要です。また、一般事業主行動計画を策定し、「両立支援のひろば」で公表する手続も必要となります。公募要領では、公表まで1~2週間程度を要すると案内されているため、申請直前の準備では間に合わない可能性があります。
第1回公募は、2026年9月30日に申請受付が始まり、10月30日18時が応募締切です。
飲食店営業許可は補助金とは別に確認
新事業として飲食店や食品製造施設を開設する場合は、補助金だけでなく営業許可についても確認が必要です。
補助金に採択されたからといって、飲食店営業などの許可が取得できるわけではありません。反対に、営業許可上必要な厨房設備だからといって、必ず補助対象経費として認められるわけでもありません。
新店舗を改装する場合は、物件契約や工事内容を確定する前に、営業内容に応じた許認可と施設基準を確認し、補助金の交付決定時期と工事・設備導入のスケジュールを整理しておくことが重要です。
2店舗目を計画している場合は、まず「現在の事業内容」「新店舗で提供する商品・サービス」「現在とは異なる顧客層」「予定している設備・改装費」を整理すると、新事業進出枠に当てはまる可能性を判断しやすくなります。
ICY行政書士事務所は、大阪市中央区・本町駅徒歩1分で、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金をはじめ、補助金申請に関する制度確認や申請準備のご相談に対応しています。

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