大阪市内の戸建てやマンションの一室を簡易宿所として利用したいものの、施設内にフロントを設けるスペースがないケースがあります。
結論として、大阪市では玄関帳場、いわゆるフロントを設置しない簡易宿所も認められています。ただし、単純な「完全無人営業」が認められるという意味ではありません。宿泊施設から1,000メートルの区域内に管理事務室を確保し、カメラや連絡設備など所定の管理体制を整える必要があります。
管理事務室は宿泊施設から1000メートル以内
今回扱うのは、住宅宿泊事業法による新法民泊や特区民泊ではなく、旅館業法上の簡易宿所営業です。
大阪市では、玄関帳場を設けない場合、宿泊者の確認を適切に行うための管理事務室を宿泊施設に近接した場所へ設けることを求めています。
現在の大阪市の申請案内では、その管理事務室が宿泊施設から1,000メートルの区域内にあることを示す見取図も申請書類として必要です。
したがって、「運営会社の事務所が大阪市内にある」というだけでは足りません。実際の宿泊施設からの位置関係を確認する必要があります。
物件契約前であれば、宿泊施設と管理事務室候補地の住所を地図上で確認し、大阪市保健所への事前相談資料にすると進めやすくなります。
カメラ・施錠・連絡設備も必要
フロントをなくす代わりに、管理事務室だけ用意すればよいわけではありません。
大阪市は、玄関帳場を設けない施設について、主に次の設備を求めています。
- 宿泊施設の出入口付近を確認できるビデオカメラ等
- 宿泊施設と客室の出入口・窓の施錠設備
- 客室と管理事務室の間で連絡できる電話機等
- 宿泊施設と管理事務室それぞれの入口への所定の表示
宿泊施設側には管理事務室の所在地を、管理事務室側には宿泊施設の所在地を表示することも必要です。
カメラについては、単に入口付近へ設置するだけでなく、実際に宿泊者の出入りを確認できることが前提です。
セルフチェックインシステムやスマートロックを利用する計画でも、これらの設備基準が自動的に免除されるわけではありません。
フロントなしでも運営管理は必要
玄関帳場がない施設については、営業開始後の管理方法も確認されます。
大阪市では、宿泊者へ注意事項を説明し、その書面を施設に備えることや、近隣住民からの苦情、事故・火災などへの対応方法を記載した手引書を作成することなどを求めています。
つまり、「予約から鍵の受渡しまでオンラインなので、現地対応する人は必要ない」という設計にはできません。
深夜に設備故障が発生した場合、宿泊者から連絡があった場合、近隣から騒音の苦情が入った場合など、誰がどのように対応するのかを決めておく必要があります。
管理事務室を外部の運営会社等が使用する場合は、施設との距離だけでなく、実際の管理体制や使用権原も確認しておきましょう。
保健所だけで物件の可否を判断しない
フロントなしの基準を満たしても、簡易宿所営業許可が取得できると確定するわけではありません。
大阪市への旅館業許可申請では、建築基準法に基づく検査済証等や消防法令適合通知書なども必要です。現在の旅館業許可申請手数料は22,000円です。
既存住宅や共同住宅を転用する場合は、用途地域、建物用途、消防設備、賃貸借契約、マンション管理規約なども別に確認します。建築・消防に関する専門的判断や工事は、それぞれの専門家や担当行政機関への確認が必要です。
物件を契約してから管理事務室を探すのではなく、宿泊施設と管理事務室をセットで検討することが重要です。
ICY行政書士事務所では、大阪市の簡易宿所営業許可について、保健所への事前相談や許可申請書類の作成・申請に関する相談に対応しています。大阪市中央区・本町駅徒歩1分です。
相談時には、宿泊施設の住所・平面図、管理事務室候補地の住所、予定するチェックイン方法、カメラ・連絡設備、賃貸借契約や管理規約をご用意いただくと確認しやすくなります。

ご相談はこちら
初回相談無料
許認可・補助金申請・入管手続など、お気軽にお問い合わせください。
ICY行政書士事務所